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一時の幸せ

結局、どれ程貫かれたのか分からない。 いつの間にか意識を手放した私が気がついた時には、ベリアル様がじっと此方を見つめていた。 「べ、ベリアル様…」 いつから、見つめられていたのだろうかと、恥ずかしさに慌てる。 そんなに見られる程、変な顔で寝ていたのだろうか。 不意に、サラリとベリアル様の手が、私の頭を撫でていく。 ベリアル様に頭を撫でて貰った事なんて初めてで、凄くびっくりする。 その手は凄く優しくて、とても嬉しかった。 自然と笑みがこみ上げてしまう。 そんな私の様子を見て、ベリアル様が問いかける。 「何がそんなに嬉しいのか、理解に苦しむ」 「へへ…」 そんな事を言われても、嬉しいものは嬉しい。 「それほど、私が好きか?」 「す、好きです…!」 「私は、その様な感情を持ち合わせていません。諦めなさい」 「そ、それでも構いません…!ベリアル様のお側に置いて頂けるだけで、それ以上は望みません…!」 「難儀な事だ」 ベリアル様の目は、呆れている様だったけれど、暫く何かを考える様に沈黙した後、諦めた様に溜息を吐いた。 「好きにしろ」 「え?」 「此処に居たければ、勝手にしろと言ったのだ」 それは。 また、ベリアル様のお側にいても良いという事だろうか? 「はい!!」 私は満面の笑顔で力一杯の返事をした。

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