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一方通行の恋
ベリアル様のお側にいられるだけで良い。
その気持ちは変わらない。
けれど、もし、
もし、
ベリアル様が、私の事を、
少しでも好きになってくれたら、
凄く嬉しい。
そんな事は高望みだと、分かってはいるのだけれど…。
「なるほどな…」
「あ、いえ!その、それが不満な訳ではないんです!私が昨夜ベリアル様と一緒にいたいってお願いした時も、ベリアル様は好きにしろって言ってくださったので、それで十分ま」
「ちょっと、待て」
「は、はい?」
「好きにしろとベリアルが言ったのか?」
「は、はい…。とても、困らせてしまったみたいでしたけど…」
思い出すと、しょんぼりしてしまう。
昨日は、ベリアル様の言葉が嬉しくて浮かれていたけれど、よくよく思い出してみれば、ベリアル様はとても戸惑っていた御様子だった。
「ベリアルを、困らせた…?くっ、くく、ははははは!」
急に大笑いをしだしたベルゼブブ様をポカンと見つめる。
面白い事を言った覚えはないけれど、また、変な事を言ってしまったのかと狼狽える。
「あのベリアルを困らせるとは、大したものだ。魔界広しといえども、そんな事ができるのはお前だけだ、ルノア」
可笑しそうにまた、大笑いをするベルゼブブ様に、とんでもない事をしてしまったのだろうかと青ざめた。
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