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悪魔の羽根
「え!?」
ベリアル様は元々は天使だったという事実に驚く。
最初はあまりの美しさに、上級天使様と勘違いしてしまった。
だけれど、深い闇の様な立派な羽根をお持ちだから、堕天使だとは思いもよらなかった。
「事実上は堕天使という事になるが、あれは生まれついての悪魔だ」
「?」
天界で生まれたのに、悪魔?
どういう事だろうかと首を傾げる。
「あの性格の悪さは生まれつきだ。それ故に、天界から堕とされたのがベリアルだ。いや、自ら望んで魔界に堕りたというべきか…」
「自ら望んで………」
言葉を失う。
私は恐ろしくて、自分で望んで魔界に行きたいなんて想像すら出来ない。
お日様の光は暖かくて、今だって天界が恋しい。
だけれど、きっとベリアル様にとって、天界は住みやすい場所では無かったのかもしれない。
「堕とされてすぐに、ベリアルは魔界でトップを争う高名な上級悪魔を殺し、瞬く間に魔界で恐れられる存在になった。ベリアルの翼は見事だろう?あの黒曜石の様に美しい羽根は、その時に殺した悪魔のものだ。」
「!?」
有名な悪魔という事は、きっと凄く強い悪魔さんだ。
魔界に来たばかりの天使に、そんな恐ろしい事が可能なのかと驚く。
そして、ベリアル様の羽根が、他の悪魔さんのものとは一体どういう事だろうか。
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