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天界に生まれた悪魔

「ベリアルは、自ら自分の美しい六枚羽根をもぎ取り、悪魔の羽根を移植した。天使の体でありながら、悪魔の体を移植した時の苦痛が想像できるか?同じ種族でさえ適合しなければ、肉は腐り、死に至るというのに、彼奴は大悪魔の羽根を自分のものにしてしまった。恐ろしい奴だよ。その激痛を知っているのは、ベリアルのみだろうな。何しろ、そんな事をやってのけるのは、ベリアル位だろうから」 そうまでして、悪魔になりたかったのだろうか? 天使でいる事が嫌だったのだろうか? 死んでしまうリスクを冒してまで…。 想像を絶する痛みや苦しみを乗り越えてまで…。 「ルノア?」 ベルゼブブ様が驚いたお顔をしている。 「何故、泣いている?」 「え?…あ、」 指摘されて、頬が濡れているのに気づく。 慌てて手の甲で涙を拭った。 けれども、涙は次々と溢れ出る。 「す、すみません…!」 「ベリアルが恐ろしくなったか?」 「い、いえ、ち、違っ…、べ、ベリアル様が…、凄く痛くて、苦しかったと思って、…悲しくて…うっ…ふぇ…」 言葉にすれば気持ちが溢れ出して、更に涙は止まらなかった。

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