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ベリアル様だけのもの

「冗談などではない。ルノアさえ良ければ、いつでも俺のハレムに入れてやろう」 「ルノアはお前のハレムには入らん」 早く帰れという様にシッシッと手を振るベリアル様に、ベルゼブブ様が意味深な表情をする。 「一生側に置くという訳か」 「飽きたら殺してやるだけだ」 「ほぉ、飽きたらなぁ…」 にやにやと笑うベルゼブブ様に、ベリアル様は溜息を吐いて、私を見る。 「どうしてくれる?お前のせいで、私までベルゼブブの暇潰しに使われているのですよ?」 「ええ!?べ、ベリアル様に御迷惑をおかけして、申し訳ございませんっ!!」 そのやりとりを見て、ベルゼブブ様が吹き出す。 「く、くく…、本当にルノアは純粋で良いな。まさか、生きている内にベリアルの狼狽える顔が見れるとは思わなかった」 そう言って、ベルゼブブ様はベリアル様に小さな箱を投げた。 ベリアル様がそれを受け取ると、ベルゼブブ様は踵を返す。 「ベリアルに飽きたら、いつでも俺のところにおいで」 「早く帰れ」 額に手を当て目を閉じたベリアル様が、深い深い溜息を吐いた。

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