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悪魔の魂
ベリアル様があんまり優しくしてくれるから、つい、聞いてしまった。
「あの、ベリアル様は、元々熾天使様だったのですね…」
ぴくりとベリアル様の眉が上がる。
そこで、止めておけば良かった。
「ベルゼブブですね…、あのお喋りが…」
「その…、ベリアル様は、何故堕天されたのですか?」
だけれど、どうしても、ベリアル様が魔界に降りたのかを知りたくて、つい聞いてしまった。
きっとお辛い思いをされたと思う。
私にできる事なんて何もないけれど、少しでも慰めて、元気づけてあげたかった。
「私は、悪魔です」
「え?」
「この世に生まれ堕ちた時から、私は悪魔以外の何者でもありません」
「で、でも…」
「天使だった事等、一度たりとも無い…!二度とその様な事を口にするな、穢らわしい…!」
怒りを含んだ声に、ようやく私は、今度こそベリアル様を怒らせてしまった事に気がついた。
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