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廊下にて

「も、申し訳ございません…」 「ふん、二度と言わなければそれでよい…。それより…」 「あっ…」 グイッとベリアル様に、引き寄せられる。 「私とセックスをしたいと叫んでいたな?」 「ええ!?」 急に先程の話をぶり返され、息が止まる程に驚いた。 しかも、ベリアル様以外とえっちな事はできないと必死に伝えたつもりが、もしかして、間違えて叫んでしまったのかと頭を抱える。 ベリアル様のお顔は、すっかりいつもの意地悪なお顔に変わっていた。 「それ程までに望むなら、今ここで抱いてやろう」 今、ここで…? ぐるりと見渡せば、そこはお城の廊下だった。 ここで、抱く。 ベリアル様の言葉の意味をゆっくりと頭が理解していく。 「ひぇ…」 血液が沸騰しているのではないかと言うくらいに顔が熱くなり、口から言葉にならない変な声が漏れた。 「ち、ちが…、わ、私は、他の方とは、その、で、できないと伝えたかっただけで、その…!」 しどろもどろに、そんなつもりで言った訳ではないと伝えるけれど、ベリアル様は、 「同じ事だろう」 と、言い放つ。 先程まで優しかったベリアル様の笑顔は、いつもの意地悪なお顔に変わっていた。

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