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争い

「ミカエルの強さは化け物じみているからな。一人で悪魔の軍勢に飛び込み、己は無傷で軍勢を次々に壊滅させてしまう。ミカエルが通った後は、虫の一匹すら残らぬと魔界では未だに恐れられているぞ」 「そんな…」 お優しくて慈悲深いミカエル様が、その様に容赦なく悪魔さん達を殺してしまう所なんて想像もつかない。 学び舎で学んでいた頃、教科書でミカエル様が魔界との戦いで大変御活躍されたと書いてあった。 その時は、凄く恐くて悪い悪魔をやっつける事ができるなんて凄いなとぼんやり考えていた。 けれど、あれはきっとベリアル様が今言った事なのだろうと思い至る。 ベリアル様は恐い悪魔だけれど、私のお願いも聞いて下さる。 ベルゼブブ様も、優しくして下さる。 天使とはやはり考え方や文化は違うけれど、天使と悪魔にそれ程大きな違いがある様には思えない。 それなのに、争って殺し合うなんて、とても恐ろしいし、悲しい。 「戦争は恐いから嫌です…」 「私の元にいるのに恐ろしいのか?私のペットである限りは、私が殺す以外に誰かに殺されるなんて許しませんよ」 「え?」 それは、もしかして、もし戦争になっても、ベリアル様が守ってくれるという事だろうか? ドキリとベリアル様を見上げるけれど、ベリアル様は気づいていない様だった。

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