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髪飾り

「何だ、これでは不満か?」 眉を顰めるベリアル様に、慌てて首を横に振る。 「い、いえ!凄く綺麗ですけど、こ、こんな高価な物を頂けません!」 物の価値等分からない私が見ても、これが凄く高いものだという事は分かる。 「気に入らない訳ではないのだろう?」 「こ、こんな綺麗な物、私には似合わないし勿体ないです…!」 「何を馬鹿な…、お前に似合う様に作らせたのだから、似合わない筈がないだろう…」 「え…?」 もしかして、これはわざわざオーダーメイドで作って下さったのだろうか? ただでさえ高価そうな品物なのに、一体どれだけの労力とお金が掛かっているのかと考えると、くらくらと目眩がしそうだった。 「どれ、つけてやろう」 「あ…」 ベリアル様が箱から髪飾りを取り出し、私の髪に飾る。 「あの…、どうしてこれを私に…?」 「………、ベルゼブブのやつが…」 「ベルゼブブ様が?」 「ルノアも年頃なのだから、何か買ってやれと五月蝿くてかなわないから用意させたのだ」 「……」 ベリアル様が、私の為に…? いつも、意地悪で恐いベリアル様が、私にプレゼントを考えてくれた…。 「わ、私…。こんな高価な物、身分にそぐわないと理解していますが…、…ベリアル様にプレゼントを頂けて…、嬉しくて、死んでしまいそうです…!」 紅潮している頬をを両手で押さえる私に、ベリアル様は戸惑ったようなお顔をしながら笑う。 「やれやれ、先程まで泣いていたのに忙しない奴だ…」 やっぱり、ベリアル様の事が好きです…。 そっと、心の中で呟いた。

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