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鳥籠の鳥2~ベリアル視点~
「お前も、あの天使長のお気に入りを奪えて、さぞ気分が良かろう?」
「ふん、聞くまでも無い。天界から魔界に降り立った日ぶりに気分が良い。ルノアを殺した時には、奴にルノアの翼をもいで送りつけてくれる。彼奴の狼狽え叫ぶ顔が目に浮かぶ」
ミカエルが苦しめば、私の気持ちも浮き足立つというものだ。
「しかし、ルノアには参る。泣き叫んで怯えれば良いものを、私を慕っている等と…」
ルノアの事を思い出す。
にこにこと笑顔で洗濯をし、歌を歌いながら掃除をするルノアが脳裏に浮かぶ。
恥ずかしさに涙ぐみながら、懸命に私の命令を聞く姿は、けして悪くは無かった。
くるくると変わる表情は、見ていて飽きない。
ふと、プレゼントを貰った時、ルノアはどんな反応をするのかと疑問が芽生える。
「今、お前がどんな顔をしているか分かるか?俺にはとても困っている様には見えないが…?」
楽しげに笑うベルゼブブの言葉を聞き流す事にする。
「…………気が変わった。注文書を書くから待っていろ」
私は机に向かい、ペンを手にとった。
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