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一番恐い悪魔
「む、無理です!私にお留守番なんて!」
魔界にいる事さえ恐ろしいのに、一人で留守番なんてできる訳がないと首を振る。
「心配せずとも、この城に近づく悪魔等居るものか」
その言葉に、一番恐い悪魔はベリアル様だったと思い出す。
「私も、一緒に連れて行ってはもらえませんか…?」
一人残される位ならば、ベリアル様と一緒に居たいとお願いするけれど、ベリアル様はそんな私の様子を見てニヤリと笑った。
「大勢の悪魔が集まる場に、お前が行きたがるとはなぁ?」
「!!??」
そんな恐ろしい場所に行くなんて知らなかったと涙ぐむと、ベリアル様が楽しそうに咽の奥で笑った。
「分かったら待っていろ。ベルゼブブの部下に見張りをさせる故、私の城には鼠一匹入って来れん」
安心させようとしてくれているんだ…。
そう思うと胸がぎゅっとして暖かい。
最近、ベリアル様が優しい…。
やっぱり、本当はベリアル様はお優しい方なのかもしれないと思う。
「もし、虫一匹入り込む様な事があれば、ベルゼブブが小言を言おうが、見張り全員皆殺しにしてくれるわ」
続くベリアル様の言葉に心底震えあがる。
やっぱり、ベリアル様は恐い悪魔です…。
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