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誤解

「ち、違います…!私は、ベリアル様のペットで…」 慌てて間違いを訂正しようとする私の言葉を遮って、悪魔さん達が話しはじめる。 「“あの”ベリアル様の恋人!?ベリアル様と恋人なんて、こ、こんなに可愛いのに、まさか凄い強い化け物なのか…?」 「バカ…!聞こえたらどうすんだよ…!殺されるぞ…!」 「ちょ…、あ、あの…」 何だかよく分からないけれど、 凄く誤解されている気がするっ…!! 「ベリアル様だって、あれ程お美しいのに、魔界で指折りの恐ろしい悪魔だろう」 「もしかしたら、あのベリアル様までも虜にしてしまう程の堕天使なのかもしれない…」 ヒソヒソと声を顰めて話し始めた悪魔さん達に、焦り始める。 「あ、あの…!」 勇気を出して大きめの声で話しかけると、びくりと悪魔さん達が震える。 「る、ルノア様…、我々は仕事がありますので…」 「あ……」 悪魔さん達は、そそくさとその場を逃げ出していく。 自分は庭師さん達に、お庭のお手入れの方法や、どうしたらお花を元気に咲かせられるのかを聞きたかっただけなのに…。 話を聞けなかったどころか、避けられてしまった。 一人残されて、途方に暮れた。

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