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美しい庭
翌日、私はやっぱりお花のお手入れ方が知りたくて、掃除を終わらせた後、庭へと出た。
天界にいた時はお花が好きで、よく育てていた。
天界には豊かな大地と太陽の光が沢山あるから、簡単なお手入れでお花はすくすく育つ。
だけれど、魔界は乾いた固い土と優しい月の光しかない。
それでも、こんなに見事なお庭ができるのが不思議で仕方なかった。
昨日いた悪魔さんの一人を見つけて、勇気を出して声をかける。
「あ、あの…」
「ひっ…」
思っていた通り、お庭のお手入れをしていた悪魔さんが、私の顔を見るなり顔を引き攣らせる。
「お願いがあるんです…!」
「い、命ばかりはお助けを…!」
「ええ!?」
悪魔さんの言葉にぎょっとする。
「そ、そんな恐い事しないです…!あ、あの…、どうか、私にお庭のお仕事を教えて下さい!」
「へ?」
「お願いします!」
膝をついて頭を下げると、悪魔さんが慌て出す。
「る、ルノア様…!どうか、頭を上げてください…!ベリアル様に俺が殺されちまいます…!」
「私、これほど綺麗なお花をどうしたら元気いっぱいに咲かせてあげられるのか知りたいんです!」
「わ、わかりました!わかりましたから…!」
「本当ですか!?」
「あ…、いえ…その…」
「ありがとうございます…!」
本当に嬉しくて、悪魔さんの手を握ると、何故だか悪魔さんの顔が真っ赤になった。
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