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綺麗なお花の咲かせ方
悪魔さんの名前はラルドさんといって、庭師のお仕事をしている。
本来は代々ベルゼブブ様のお城の庭師をしている家系なのだけれど、半年程前からベリアル様のお庭のお手入れの担当になったらしい。
まだ修行中だというけれど、月の光でも綺麗に咲く種類のお花や、栄養剤がある事を丁寧に教えてくれた。
真剣に聞く私に、ラルドさんが笑った。
「ルノア様は、花がお好きなんですか?」
「はい!天界にいる時も育てていたんですけど、魔界とは光も温度も土も違うので、お花が綺麗に咲いているのが不思議で…」
「俺は天界の花の事は知りませんが、魔界の花は月の光でも咲くものが多いんです。あとは、魔力を照射して育てたり、それぞれに合った肥料を与えて育てています」
「凄い…!ラルドさんは、そんなに沢山のお花の知識があるんですね…!」
「庭師の家系でガキの頃からやってるから、嫌でも覚えますよ」
こんなに広いお庭に咲いている花を全て把握しているなんて凄いとはしゃぐ私の横で、ラルドさんは何だかこちらの方を見ている。
「可愛い…」
ぽつりと呟いたラルドさんに私の手元を見ると、そこには小さな一輪のピンクの花が咲いていた。
「はい!とっても可愛いお花ですね!」
「あ、あの…いえ…、は、はい」
同じお花を好きなのが嬉しくて、私は力いっぱい頷いた。
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