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懺悔

お優しいミカエル様は、突然失踪した私を心配して、天界を探してくれたんだろうと思う。 だけれど、私が迷い込んだのは魔界だった。 天界を探しても見つからなければ、きっと今頃は捜索も打ち切られているものと思っていた。 それが、魔界までも探してくださっている。 嬉しくて、悲しくて、申し訳なくて、様々な感情が胸を入り乱れている。 涙が溢れた。 お優しいミカエル様は、まだ諦めずに私を探して下さっているのだ。 私が捕らえられて、天界へ帰れないのだと、きっと心を痛めてくださっている。 自分の職務も忘れ、ベリアル様の虜になってしまった私を…。 「ルノア様…、大丈夫ですか?俺、余計な事を言っちまいましたね…。ベリアル様が、天界へ帰るのを許してくださるはずなんて無いのに…」 「そんな事ありません…。ラルドさんに教えてもらわなかったら、私はミカエル様が私の事を探して下さっている事も知らなかったのですから…」 ラルドさんの手を握る。 「ルノア様…」 「ありがとうございます。本当に、教えてくれて、ありがとうございます…」 叶うなら、もう一度ミカエル様にお会いしたかった。

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