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帰りたい?

「ルノア様…、本当は帰りたいのではないですか…?」 「え…?」 ラルドさんは、まっすぐにこちらを見つめていた。 「天界へ帰りたいんじゃないですか?俺は天界がどんな所なのか、見たことも、聞いた事もないですが、生まれ育った魔界に突然帰れなくなったらと思うと辛いです…」 自分も天界にいる時は、ただただ魔界は危険な場所で、悪魔は酷く恐ろしい姿をした獰猛な者ばかりだと思っていた。 正直に言えば、今でも魔界にいる事が恐くて心細い。 できる事ならば、今すぐにでも天界で暮らしていた頃に戻りたい。 だけど 今は、それ以上に ベリアル様と共に在りたいと思っている。 ラルドさんの問いかけに、私は静かに首を横に振った。

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