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会いたい
本当に、ベリアル様に嫌われてしまった。
やっとベリアル様に会えると舞い上がっていたのに、今はまるで沼の奥底へ沈んでいくようだ。
もう、ベリアル様の側に置いて頂く事はできないのだ。
そう思うと、
こんなに、悲しい事がこの世界にあるのだろうかという程に愕然とした。
「ベリ…アル様」
思い出すのは、微笑む綺麗なベリアル様。
どうして、いつも自分はベリアル様を苛立たせる事しかできないのだろう。
よろよろと立ち上がり、羽根を広げる。
療養したおかげですっかり傷は癒えたけれど、ベリアル様に折られた翼は、まだ飛ぶのは難しそうだった。
仕方なく、とぼとぼと歩き出す。
もう、ベリアル様の側には帰れない。
こんなに、深い悲しみがあるんだ。
胸が張り裂けそうで苦しい。
ベリアル様に毒を打たれた時より、
ずっとずっと痛くて苦しかった。
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