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突然の別れ~ベリアル視点~
扉を開け、入ってきたのはベルゼブブだった。
正面の扉が閉じていても、此処まで入ってこれ、ましてや自分の意思で私の部屋を訪れる者はベルゼブブしかいない。
構わず書類にペンを走らせれば、ベルゼブブが恨めしげな声を絞り出す。
「ベリアル………、珍しく入り口に鍵が掛かっていたぞ。おかげで、俺はまた自分の城へ戻り、地下通路から来る羽目に……」
ベルゼブブの言葉に、ルノアは天界へ帰る為にベルゼブブの城へ再び向かったと思っていたが、擦れ違ったかと思う。
この界隈は、ベルゼブブの部下が見廻っているのだから、直に見つかり保護をされるだろう。
運悪く、他の悪魔や魔獣に殺されたとしても、最早関係の無い事だ…。
「おい、聞いているのか?」
「聞いている」
素っ気なく応えれば、言っても無駄と判断したのかベルゼブブが溜息を吐いた。
「ところで、ルノアはどうした?先程城に送り届けたのだが、会っていないのか?」
「追い出した」
「……………何だと?」
私の言葉に、ベルゼブブが訝しげな顔をした。
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