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血の跡~ベリアル視点~

慌てて外に飛び出したが、そこにはルノアはいなかった。 「くそっ…!何をしているんだ…、私は…!」 馬鹿馬鹿しい。 ただの子供の天使一人に、この様に慌てふためいて。 今の己の何と滑稽な事か。 たかが小鳥1羽逃げたとて、何が変わる訳でもない。 元々魔界に存在しない鳥。 捨てた鳥だ。 今更居なくなったとて、ただ、元の静かな暮らしに戻るだけだ。 中へ戻ろうと踵を返した時だった。 扉に、赤黒い染み。 手でなぞると、もうそれは乾いていたが、紛れもない血の跡だった。 それが、上から下へと縦に何本も走っている。 「っ…」 必死に開けてくれと泣いて、何度も扉を引っ掻いたのだろう。 「馬鹿め…!」 無駄な事をして、何と愚かなものだ。 そして、そんな馬鹿げた事に動揺している私はもっと愚かだ。 羽根を広げて地面を蹴り、魔界の空へと飛び上がった。

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