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親友2~ベルゼブブ視点~

ベリアルの見事な漆黒の羽根は元々は俺の父親の物だった。 父上の返り血を浴びて妖艶に笑うベリアルに魅せられ、魔界に降り立ったばかりのベリアルの身の回りの世話をし始めたのがこの関係の始まりだ。 美しい六枚の翼を自らもぎ取り、俺を息子と知りながら、己が殺した大悪魔の羽根を移植しろというベリアルに、心底惚れ込んだ。 それは、恋や憧れというにはあまりに強烈で、畏怖というにはいささか違和感があった。 初めて経験する類の感情に、俺は打ち震えた。 だから、最高の技術を持った医師達を集め、ベリアルの望みを叶えてやる事にした。 手術は成功したが、拒絶反応でベリアルは何ヶ月ものたうち回り、苦しんだ。 無理もない。 天使でありながら、悪魔の、それも魔界を統べる程の力を持った大悪魔の羽根を移植したのだから。 だが、何十年、何百年もかけ、遂にはベリアルはその翼を己のものにしてしまった。

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