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妃って、お嫁さん?

「そんなに怯えるな…、何も取って食おうという訳じゃないんだ…」 上半身が獣の悪魔さんがそう告げる。 「ほ、ほんとに?」 「お前、堕天使なのか?名前は?」 「た、多分……。名前は、ルノアです…」 殺されてしまうかもしれないと怯えていた私は、少しだけ安堵した。 けれど、そんな私の頭から爪先までを、黒髪の悪魔さんがジロジロと眺める。 天使が珍しいのだろうか? 何だか居たたまれなくて縮こまる。 そうすると、何やら黒髪の悪魔さんは満足げに頷いた。 「決めた!お前、俺の妃になれ!」 「ふぇ!?」 悪魔さんの突然の言葉に驚く。 妃? 妃って…、まさかお嫁さん…!? 「丁度、結婚相手を探してたんだ。だけど今時親が決めた婚約者とか、政略結婚とか流行らねぇじゃん?」 「え?」 「嫁に貰うならとびっきり可愛い子って決めてんだ」 とびっきり可愛い子………? なのに、何で私!? あまりの驚きに固まっていると、黒髪の悪魔さんに、腕を掴まれ引き寄せられた。

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