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小さな恋~ラルド視点~
俺は必死に羽根を羽ばたかせた。
仕事を終えて、ベルゼブブ様の城へ戻った時だった。
ルノア様が城の外へ一人で歩いていったという噂を聞き、慌ててベリアル様の城へ戻る為に急ぐ。
とても可愛くて、優しくて、純粋なルノア様に、俺の心はすっかり捕らわれていた。
正直、ベリアル様の城で働くのは恐ろしいけれど、ルノア様の笑顔が見れるのならば、ベリアル様の庭園の庭仕事も悪いもんじゃないなんて単純な事を思い始めていた。
何故、ルノア様は城から出たのだろう?
しかも、一人でなんて…。
まさか、逃げ出したのだろうか?
あんなに可愛らしく恥じらいながら、ベリアル様を慕っていると話すルノア様を思い出す。
そんな筈は無いと、根拠は無いけど思う。
それに、これから逃げ出そうという者が、ベリアル様の庭の花の手入れの方法等知りたがるだろうか?
まさか、
ベリアル様に追い出されたのだろうか?
そう思い至ると、居てもたってもいられず、俺はルノア様を捜す為に羽根を羽ばたかせ、目を凝らす。
出会ったばかりで、ルノア様の事はよく知らないけれど、ルノア様は凄く純粋で、何とか自分が助けてあげたいと思った。
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