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手掛かり~ベリアル視点~
「べ、ベリアル様っ!?」
名を呼ばれて振り返れば、そこには息を切らせて飛んでくる悪魔の姿があった。
「よ、良かった…!!」
「お前は…」
声の主は、ベルゼブブの所の庭師だった。
名前は知らないが、私の庭園の仕事もしていたから、顔は覚えている。
ルノアと楽しげに話していた男だ。
「貴様に構っている暇など無い。殺されたいか?」
今は殺している時間も惜しい。
蹴散らそうと睨みつけるが、それにも怯まずに必死に庭師がしがみついてくる。
それに、少々面食らう。
「お願いします!ルノア様を助けて下さい…!」
「何?」
今、此奴はルノアと言ったか。
「ルノアの居場所を知っているのか?」
「はい!る、ルノア様が、バルト様達に捕まっていて!お、俺じゃ助けてあげられなくて…!」
半分泣きながら話す庭師が、嘘をついている様には思えなかった。
以前であれば、他者の言葉等、耳を貸さなかったかもしれない。
余程自分が必死なのか、
ルノアに感化されたかと、
内心、苦虫を噛み潰す。
「ふん、あの馬鹿息子か…。早くその場所まで行け。もたもたしていると、頭から引き裂くぞ」
「は、はいッ!!」
青い顔をし、慌てて引き返す庭師の後に続き、翼を羽ばたかせた。
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