129 / 146
ただのペット
バルトさんが、ショックを受けた様なお顔をする。
「こ、心に決めた相手って、その髪飾りの贈り主か…?」
「はい…、捨てられてしまいましたけど…」
「捨てられた…だって?」
私の言葉に、バルトさんが怖い顔をする。
「そんな奴忘れろっ!!」
急に怒鳴られて、びくりと肩が震える。
「一度愛を誓った相手を捨てるなんて、男の風上にも置けない奴だ!俺の父上も愛した相手は大切にしなければいけないと、いつも言っている!」
「あ、愛を誓い合った訳じゃないんです…。わ、私の片想いですし…」
そうだ、私が勝手に想っているだけ。
ベリアル様に、好かれている様な覚えは少しも無い。
いつも、呆れられて、怒らせて…。
少しもお役に立てなかったなと思い出す。
「私は…、ただのペットでしたから…」
「なっ………!?」
バルトさんは絶句し、私の顔を凝視していた。
ともだちにシェアしよう!