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恐ろしいのは

そうだ、私はただのペットだった。 ベリアル様が近頃、優しい気がして、忘れていた。 言葉にしたら、また悲しくなって涙が溢れた。 「なら、尚更、俺の城へ来い!」 バルトさんが私の腕を強い力で掴んだ。 びっくりして、慌てて手を引こうとするけれど、バルトさんの手はびくともしない。 「や、やめてください…」 「今は嫌がっていても、そのうちに俺に夢中にしてやる!」 怒っている様子のバルトさんが恐ろしくて、体が震える。 でも、本当に恐ろしいのは、バルトさんじゃない。 きっと、バルトさんは私を心配してくれている。 だから、こんなに怒っているんだ。 バルトさんは、近くでみると、とても格好いい容姿をしていて、私なんかじゃなくても、沢山お嫁さんになりたい方がいるんじゃないかと思う。 きっと、本当に私の事を大切にしてくれるのかもしれない。 バルトさんがいう様に、バルトさんのお嫁さんになれば、私はバルトさんに夢中になるのかもしれない。 だけど…、 バルトさんの事を、好きになってしまうのが、 ベリアル様への気持ちをいつか忘れてしまうのが、 たまらなく恐ろしかった。

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