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悪魔の中の悪魔

「待て!ベリアル!」 バルトさんが、ベリアル様に向かって叫ぶ。 「ルノアを俺の嫁に迎えるから、連れて行く!此方に渡してもらうぞ!」 「………………何?」 バルトさんの言葉に、ベリアル様の眉間にみるみるうちに皺が寄っていく。 そして、その怖いお顔のまま、勢いよく私の方を見る。 あまりの怖さに、腰を抜かしてしまいそうだった。 私は、慌てて首が取れるのではないかという程に必死に首を振った。 バルトさんのお嫁さんになるつもりは無かったし。 とにかくベリアル様が怖かったから、本当に一生懸命首を振る。 「大体、ルノアを捨てたんだろう!?それが今更何の用だよ!?」 そんなベリアル様に怒鳴るバルトさんは、本当に勇気があると思った。 「相変わらず五月蝿い奴だ」 「何だと!?」 「貴様には関係のない事だ。…失せろ、殺すぞ」 口調は静かなのに、物凄い迫力だった。 ギロリと睨みつけるベリアル様に、バルトさんが息を飲む。 他の悪魔さん達は、すっかり腰を抜かして座り込んでいる。 私もできれば気を失ってしまいたかった。

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