134 / 146
悪魔の中の悪魔
「待て!ベリアル!」
バルトさんが、ベリアル様に向かって叫ぶ。
「ルノアを俺の嫁に迎えるから、連れて行く!此方に渡してもらうぞ!」
「………………何?」
バルトさんの言葉に、ベリアル様の眉間にみるみるうちに皺が寄っていく。
そして、その怖いお顔のまま、勢いよく私の方を見る。
あまりの怖さに、腰を抜かしてしまいそうだった。
私は、慌てて首が取れるのではないかという程に必死に首を振った。
バルトさんのお嫁さんになるつもりは無かったし。
とにかくベリアル様が怖かったから、本当に一生懸命首を振る。
「大体、ルノアを捨てたんだろう!?それが今更何の用だよ!?」
そんなベリアル様に怒鳴るバルトさんは、本当に勇気があると思った。
「相変わらず五月蝿い奴だ」
「何だと!?」
「貴様には関係のない事だ。…失せろ、殺すぞ」
口調は静かなのに、物凄い迫力だった。
ギロリと睨みつけるベリアル様に、バルトさんが息を飲む。
他の悪魔さん達は、すっかり腰を抜かして座り込んでいる。
私もできれば気を失ってしまいたかった。
ともだちにシェアしよう!