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感覚の違い
私の言葉なんて、聞いてくれないかもしれない。
だけれど、今は必死に懇願するしかない。
「ベリアル様っ!!」
見上げると、じっとベリアル様が私を見下ろす。
そして、ふっとベリアル様が笑った気がした。
「あ…」
「心配するな」
「ベリアル様…」
ほっと息を吐いたのも束の間。
「例えベルゼブブ相手にも、引けをとる気はない」
「そ、そうじゃなくてぇっ!」
やっぱり、天使の常識と悪魔の常識はかなりずれている気がした。
それとも、ベリアル様と私の感覚がずれているのだろうか…。
「ベルゼブブ様は親友なのに、その息子のバルトさんを殺すなんて、絶対駄目ですっ!」
「ふん」
ベリアル様が、私からバルトさんへ視線を戻す。
「とっとと行け。私の気が変わらぬうちにな」
「ぐっ」
「何をぐずぐずしている。殺すぞ」
「お、俺は絶対諦めないからなっ!いつか、お前を倒し、ルノアを俺の嫁にしてやる!!」
そう言い捨てると、バルトさんは他の悪魔さん達と空へと舞い上がり、消えていった。
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