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会社にて ②
「お茶、ごちそうさまね」
沙奈ちゃんと入れ違いでやって来たのは
廣瀬 祥子 さん。
秘書課の主任さんだ。
どこの会社でも似たようなものなのかな?
女性社員は勤続期間が長くなればなるほど
”お局様”のように偉ぶった態度をとるように
なるけど。
祥子さんはそんな事まるでない。
付き合い易い先輩だ。
「―― やっぱりっちゃんが淹れてくれる
やつがイチバンだってみんな言ってるよ」
”うわぁ、何気に嬉しい。
ありがとう、お母さん’
「資料室のファイルも整理してくれたのね。
すごく使い易くなってた」
見てくれはる人はちゃんとおるんだぁ……。
「俺でも少しはお役に立ててるんですね」
「何いってるの!
同年代のスタッフの中でまともな仕事出来るの
あなたくらいじゃない。それに、りっちゃんが
いつも気難しい統括の相手してくれてるから、
私ら物凄く助かってるのよ」
「アハハハ~――そうですかぁ、いやぁ……」
って、俺は、人身御供かっ?!
「でも、ホント、時々あなたが羨ましくなるわ」
「えっ ――」
「私なんか統括の前だと未だにあのパワーに圧倒
されちゃうけど、りっちゃんはいつも自然体だもの」
えっ、そう、かなぁ……付いて行くのが必死で
そんな事にまで気が回ってなかった。
「あぁ見えても彼は結構寂しがりだから、
これからも仲良くしてあげてね」
「統括が寂しがりぃ??
って、面白すぎ祥子さん ――」
ありがとう祥子さん、
何だかすっごく元気出てきました。
「あ、ところで祥子さんは今度の歓迎コンパ
どうするんですか?」
「一応顔は出すけど、
早々に引き上げようと思ってるわ。
りっちゃんはどうするの?」
「さぁて、どうしましょ。お酒弱いし。
俺なんかが出たって場を白けさせるだけ
ですから」
「あ~らそんな事ないわよ、ここだけの話。
営業の男子達の中にはあなたの隠れファン
だって人結構いるのよ」
「え~~っ、まっさかぁ!
またまた祥子さんってば人をノセるのが
上手いんだからぁ」
「そんなに信じられないなら、
試しに出てみれば?」
「えっ ――」
「なんでも今年のは、
秘書課・営業・プロ企、三課合同で
やるらしいからかなり盛大になるわよ」
「……」
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