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第6話
「ちなみに、どこまで覚えてる?」
「盗んで帰ってきたところまで…」
「そっか……」
玄関口に転がったリンゴたちを確認してからまた俺のほうへ顔を向けた。
「じゃあ発情期はいつから?」
「1週間、くらい前。もう終わりかけで…体調も戻ってきた、から……食料調達しようと思って街に、出たんだけど…。発情してきちゃっ、て…」
掠れた声で少しずつ話す。
彼はまぶたを伏せながらうんうんと相槌を打ってくれた。
「前に、あの街で発情して……襲われたことがあって…。孕みはしなかった、けど…。それが怖くて、逃げてた……んだと、思う」
彼は弾かれたようにこちらを見て、悲しそうに眉を下げた。
「……お前に悪いことした、な」
「え……?」
見せた方が早い、と束ねていた髪をわけ現れたうなじ。
αは番のΩと同じ場所に同じ歯形ができる。
彼にもくっきりとした歯形があった。
「てことは……俺、お前と…つがい?」
「あぁ」
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