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第6話

 18歳になった青は成人し、王として国を任される事になった。  簡単に言えば両親が二人の思い出のある森の奥の城に早く帰りたかっただけである。  青は父似のキュートな顔立ちで、国民からも愛されていた。 「だから、その気は無いって言ってるだろ? 面倒だか断ってっくれ」 「そう言う訳には行きません。一目だけでも」 「くどいぞ!」  青が口論しているのはラオンの息子ラオだ。流石百獣の王だけあり、よほどライオンと言う事にアイデンティティが有ると見える名前選択である。  今では、イオは青の補佐役である。 「結婚しない気ですか?」 「僕の相手はもう決まってるんだ」  二人が口論している理由は、青が全く結婚する気がないと言う事である。  国内外から選り取り見取りの女性を選んで紹介しているが、誰一として受付ないのである。  イオは頭を抱えてしまっていた。 「会うだけでもどうです? 女性を集めてパーティでも…… せめて私の顔を立てると思って、どうか」 「面倒臭い。もう勝手にしろ!」 「え? 本当てすか? パーティの予定を立てても?」 「好きにしろ。だが、そこで未来の妻が見つからければ二度と結婚の事は口にするなよ! いいな?」 「……はい」  あまりにもしつこいイオに、折れる形になる青。  何とか口説き落としたが、そこで良い人が見つからなければ大変だと、イオは複雑な面持ちをしながら執務室を出ていく。  青は重要な書類に目を通しつつ、溜息を漏らした。  今でもユキを探している。  でも、見つからない……  あれだけ綺麗なユキヒョウである、人間に捕まって毛皮にされてやしないか……  ユキを森に返した後に黒と白は直ぐにユキヒョウの毛皮の売買禁止を強化した。しかし密漁を防ぎきる事は出来ないだろう。  人間でなく、魔物だってあの綺麗さである。オークなんかに捕まり餌食にされて無ければ良いが。あの可愛いユキがオークなんかに……  クソ……  青はテーブルを殴ってしまう。 『本能的に森に帰りたいと思うユキを引き止める事は出来ない。此処に居てもストレスになるなら、どんな未来が有ろうと森に返さなければ』  そう母は言っていた。でも、ユキは臆病で、おとなしい性格なのだ。  人間に捕まり毛皮にされるか、魔物に捕まり慰み物にされるか…… 二つに一つしかない様な気がする。  僕のユキ……  待っていてと、結婚しようと誓ったのに。  頷いてくれた筈なのに……  ユキ、どうして……  青はまた何度目かの溜息を吐くのである。

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