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第20話
* * *
「そう。上手。七緒くん、上手だよ」
「本当?嬉しい……」
彼のそそりたつ肉棒に手をはわせながら、七緒は笑みを浮かべる。
夕方から落ち合って、食事は適当に済ませて、早々と彼の家にお邪魔して、カーテンを締め切った寝室でいやらしい事をする。それが二人の定番のデートだ。
「あ、ごめん、もう、イきそ……」
「うん。いいよ。イッて?俺の手で」
「あー……七緒くん、最高……あ……」
眉根を寄せて赤く火照らせる顔を間近で見ながら、七緒は膝をモジモジと擦り合わせる。
先走りの蜜が自分の指を濡らしている。
緩急をつけながらしごいてやると、先端から白濁の液体が勢いよく飛び出した。
「いつもありがとう七緒くん。今日もすごく気持ちよかったよ」
彼はティッシュで自らのそれを拭いて、後処理をする。
七緒は燻り続けた身体を疼かせながら、いつもみたいにこちらも「ありがとう」と礼を言った。
七緒の膨らんでいる股間に気付かないのか、それとも気付いていないふりをしているのか、彼はこちらに目もくれず乱れた衣服をきちんと着直して呑気にタバコを吸っている。
これもいつもの事だった。
彼は自分のは七緒に触らせてイかせる癖に、七緒のは触ってくれた試しがない。
同じ男ならばイケない苦しみを分かりそうなものなのに、「自分もしてあげるよ」なんて言ってくれたことは無い。
七緒はいつも生き地獄を味わいながら、少しでも股間が萎えるように、高ぶった気持ちを沈めるように深呼吸をするのだ。
「あ、そうだ。俺明日早いんだった。悪いんだけどそろそろ……」
「あっ、そうなの?ごめんね、疲れてるのに。俺と会ってくれてどうもありがとう」
「いいんだよ。俺が七緒くんに会いたかったんだから。送っていかなくて大丈夫?」
一回、「送ってほしい」と素直に言ったらあからさまに面倒くさそうな顔をされたから、言ってはダメだ。
相手はそんな気は全く持ち合わせていない事も、もうお見通しだった。
笑顔でフルフルと首を横に振る。
「大丈夫だよ。いつもありがとう。また連絡するね」
「うん。大好きだよ、七緒くん」
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