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第42話
風呂に二人で入り、身体を洗いあった。
マルは尻尾が無くなったから、七緒をくすぐらせて揶揄う事ができなかったけど、二人の笑い声はずっとバスルームに響いていた。
ベッドに腰かけるマルの髪の毛をタオルでわしゃわしゃと拭いてやりながら、七緒は問いかける。
「本当に良かったのか?この姿になって」
「うん。ここを出る時から、もう決めてたんだ。犬神様にお願いして、何としてでも人間にしてもらうんだって」
「でも殴り合いの喧嘩したんだろ?」
「そうだよ。そんな前例のない事は簡単には出来ないって。でもリュウくんも一緒に犬神様に頭を下げてお願いしてくれて、俺を助けてくれたんだ」
あの長身の男を思い出す。
彼はたしかヨークシャーテリアと言っていた。彼の言っていた通り、マルとは昔からの仲らしい。
「リュウくんは俺と違ってしっかりしてて人望も厚いから、犬神様もすっかり流されちゃってさぁ。まぁお陰で、こうやって無事になることが出来た訳ですけど」
「リュウくんとはもう会えなくなるんだろ?」
「うん。でもこの一週間、沢山遊んで来たから大丈夫。それに、いつも空から見てるよって言ってくれたし」
七緒は持っていたタオルを床に落とすと、マルの背中にそっと手を回し、ベッドの上に横たえた。
「ずっと一緒だから」
「うん。ご主人様と、ずっと一緒」
前髪を手で掻き分け、マルのおでこに優しくキスを落とす。
くすぐったそうに笑うマルを穏やかに見つめた。
目を閉じてキスをおねだりするマルの唇に、七緒は熱いキスを落とす。
唇を舌先で割って中に侵入させると、生暖かくて一瞬でくらくらした。
二人にとって、愛のあるちゃんとしたキス。
顔の角度を変えながら舌先で歯列をなぞると、マルはくぐもった声を出した。
胸の上に置いていた手をゆっくりと移動させ、服の上から指先で尖りをつついてやると、マルはぴくんと身体を跳ねさせる。
「あ、恥ずかし……っ」
「お前、はじめて会った時に俺にマウンティングしたりだとか、尻尾で散々俺の事揶揄ってきてたくせに、なんでそんなに恥ずかしがってんだよ」
「なんかっ、ご主人様がちゃんと俺を好きなんだなって思うと恥ずかしくて」
「こんなんで恥ずかしがってたら、後が大変だぞ」
偉そうに言ってはみたものの、七緒だって経験がある訳では無い。けれど明らかに緊張するマルを不安にさせたくなかった七緒は、心臓が破裂しそうになりながらも余裕そうな表情を作って、その突起を爪でカリカリとこすった。
「……ぁ……ん」
指の腹で潰したり転がしたりしていると、布越しにふっくらと芯を持ち始めたのが分かるし、太ももに当たっているマルの股間も硬くなったのが感じ取れる。
足を動かしてそこにも刺激を与えてやれば、マルの息遣いがどんどん荒くなっていった。
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