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第44話
「あっ、あ……、やっ……ぁ、なんか……俺ッ……」
クチュクチュと卑猥な音が二人の耳を犯す。
ますます声が我慢できなくなってきたマルに、七緒は耳元で囁いた。
「一回イク?いいよ、出して」
「だっ、ダメだよ……っ、汚れる……っ」
「大丈夫だよ。気にすんな」
「あっ、はっ……ん……っ、ん――……」
優しい声で、大丈夫、と言われた事にすっかり気を許してしまったマルは、愛撫に耐えられずに限界を向かえ、欲望を放った。
白濁の液はすべて七緒の手で受け止められる。
「あっ……ごめ……イっちゃった……」
「ん、いいよ。可愛かった」
肩で息をするマルに、七緒はキスを落とす。
体液で濡らされた手で、そのままマルの足の間の奥を触った。
「ひゃっ……何……っ」
ヌルッとしたものを感じて、それがいま放った自分のものなのだと悟ったマルは狼狽する。
七緒はマルの後孔に指先をつぷりと差し入れた。
「あっ……!」
「ごめん。俺、余裕無い」
七緒の指が、お腹の奥にどんどん入ってくる。
その異物感にマルは腰を引いて逃げようとするけど、捕まえられてそれは許されない。
さっきは一本だったのに今二本にされた。
押し広げるように七緒の指がナカを動き回る。
マルはキュウキュウとその指を締め付けながら、宙に視線をさ迷わせた。
「もう少し力抜いて。そんなんだと入らない」
「む、無理……っ」
七緒だって、本当は緊張していた。
男同士でどうやるのかなんて、とっくの昔に知っている。
けどいざこうなってみたら、想像してた自分とは掛け離れ過ぎていて戸惑う。
もっともっと、優しくしてあげたいのに。
マルのどんな顔も見逃すまいと、一挙手一投足を見つめていたのが悪かったのかもしれない。
その潤んだ瞳を見ていたら、理性なんてものはほとんど何処かに吹っ飛んでしまった。
三本に増やした指を出し入れしながら、さらにその奥へと入れた瞬間だった。
マルは顎を持ち上げて、体をビクンと跳ねさせる。
「あっ!あっ……や……っそこ……っ!」
「あ……これか……前立腺」
「ひゃっ……なっ、なにそれ……っ」
「気持ちいいところ。ちゃんと覚えておかなきゃ」
七緒は嬉しそうに言うと、その箇所ばかりを狙って指を抜き差しする。
マルは涙を弾けさせながら、さらにいやいやをした。
「あっあっ、気持ちいい……っ、ご主人様ぁっ……」
さっき放ったばかりのマルの性器はあっという間に昂りを取り戻し、また先走りの液を先端から溢す。
弱いところを何度もこすられて、たまらない。
「やだっ……もうっ……お願い……」
ぐずぐずに蕩けた顔をさせたマルは、もう一度七緒にお願いをした。
「はやく……挿 れて」
涙目のマルにそんな風に煽られて、平気な奴なんてこの世にいるんだろうか。
七緒はめちゃくちゃにしてやりたい欲望を頭の隅でほんの少しだけ残る理性で押さえて、指をゆっくり引き抜く。
代わりに自身の猛った性器の先端をマルの蕾にあてがって、ゆっくりと腰を押し進めた。
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