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第45話
「――あ!あ、あっ……」
「あ……すご……」
少し腰を浮かせたマルの中に自分のものが入っていく。
圧迫感に汗が滲んだけど、少しずつ押し進めていった。
「マル、大丈夫?」
「……うん。はい……った……?」
うん、と七緒は優しく頷くと、マルも嬉しそうに口の端を上げて七緒を見上げた。
「痛くないか?」
「……ふふふ」
泣き笑いをするマルに、七緒も釣られて笑う。
「何笑ってるんだよ」
「ご主人様って、自分勝手で意地悪なところもあるけど、そうやって気遣ってくれる優しいところもいっぱいあるよね」
「はぁ?」と言って七緒はマルの涙を拭ってやった。
こんな繋がった状況でおしゃべりする余裕がまだあったらしい。
「俺はそんなご主人様が大好きだったよ。俺の事、ずっと可愛がって育ててくれてたよね。いきなり死んじゃったり、突然いなくなって悲しい思いさせちゃってごめんね」
「……」
「もうそんな事はしないから。大好きだよ。これからも」
思えばいつだって、マルは自分を見てくれていた。
七緒はずっと、人との距離感を掴めずに生きてきた。周りの目を気にして言いたい事も言えずにご機嫌取りをして、ストレスが溜まったら甘いもので憂さを晴らし、何でも受け止めてくれるマルを吐け口にしてきた。
でもそれはもう終わりだ。
急に変えるのは難しいかもしれないけれど、自分をもっと大切に、マルをもっともっと大切にして生きていく。
「俺も」と七緒はマルの耳元で囁くと、腰を引いてからもう一度奥まで押し入った。
突然の刺激にマルは頭が真っ白になり、身体も悲鳴を上げる。
さっき七緒にこれでもかというほど指で弄られた中の箇所が、指とは違いすぎるモノでグリグリとこすられた。
「あっ!ぁんっ」
「煽ったのはお前だからな。覚悟しろよ」
「あっ、あっ、ダメっ……気持ちいっ……」
七緒は何度も抽挿を繰り返しながら、じっくりとマルの感じる顔を鑑賞した。
しゃくりあげる声を漏らし、溺れているかのように荒く呼吸を繰り返す愛しい人に、熱いキスを落とす。
「ん、あ、あっ……大好きっ……大好きだよ……っ」
自分に必死にしがみついてくるマルがとても愛しくて、もう二度と、こいつとは離れないと心に誓った。
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