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第2話 -7
寝転び上下逆さまになった視界で窓の外を見上げる。今にも降り出しそうな曇天だ。
雨は好きだ。土砂降りなら尚更。雨音がノイズのように生活音に被さり、思考を遮断してくれるから。
でも確か、光は雨が嫌いだと言っていた。外で遊べないし、気分も乗らなくなる。雨に濡れるのも嫌いだと。
悟志は、曇天から視線を外さないまま市倉に声をかけた。
「お前、雨は嫌いか?」
「雨ですか? 好きでも嫌いでもないですね。洗濯物が乾かないのは困りますけど、別に乾燥機使えばいい話だし」
「へえ」
らしいといえばらしい答えだ。40も過ぎれば天気に好き嫌いなんてなくなるかもしれないが、現実的であり質問にはどっちつかずな答え。昔から質問責めをしては曖昧な返事ではぐらかされていたことを思い出す。
コンビニに着いたようで、少し曲がったところで車は停車した。起き上がろうかと顔を上げると、市倉に止められる。
「俺が買ってきます。俺と一緒に店内に入るよりも一人で車内にいてもらった方が安全なので出ないように」
「過保護」
「坊ちゃんを守るのが俺の仕事なんですよ。鍵は閉めていくので、絶対に動かないでください」
「わかった。米が食べたい」
「適当に買ってきます」
車から出、買いに行ってしまった市倉を見送りまた空を見上げる。
朝早くからこうして家を出るのはいつものことだ。朝食は家でとれとよく注意されるが、あまり父と顔を合わせたくないから逃げている。夕飯の時間は毎日のように顔を合わせているのだし、朝食くらい別にいいだろうに。
図書館が開くまで何処で暇を潰していようか。朝早くからやっているような店には市倉が入れてくれない。車の中で時間を潰すにも、ゲームにも興味がないしすることがなかった。
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