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第5話 -7

 障子が開かないよう荷物で塞ぎ、向き合って座る。まだ少し触れることに戸惑っている様子の悟志をリードしてやらねばと、光は着ていた浴衣の裾を捲った。下着を押し上げているそれを指で撫で、見下ろしてきているそれにキスをするが、それは唇を触れ合わせるだけに留める。指先で下着の上から撫で続けているとじんわりと濡れていくのがわかった。  元々熱を出し判断力が鈍っている上に、刺激を受け理性が本能に蝕まれていく。蕩けた表情で見下ろされるそれに、光はこの表情を出させたことに興奮が止まらない。  キスをやめ名残惜しそうな悟志を、またするからと宥めた。下着をゆっくりと指で押し下げ、外気に触れさせる。嗚呼、喰いたい。でも今日はただ触るだけ。我慢し、自分も下衣を寛がせ欲望を露出させた。  身体つきは悟志の方が大きいのにも関わらず、光のそれは圧倒的な質量を誇っていた。二人の体格とは真逆なそれを触れ合わせ、光は見上げるようにしてまた悟志にキスを誘う。 「さと、もっとえっちなちゅーしていい?」 「ん……」  許しを得たことにより、光は噛みつくようにくちづけた。荒々しく貪るようなそれをされ、悟志はただそれを受け入れるだけ。  重ねたそれは片手では包み切れない。悟志の両手をとり、直接触らせる。自分は片手で悟志の手を上下に扱かせながら、もう片手は悟志の頬を撫でキスから逃げないように後頭部に手を当てている。小指で項を撫で、酸素不足から呼吸が乱れているそれが顔を逸らす度に追いかけ奪った。 「んっ、ぅ、んん」 「ちゅーやだ? ね、俺とちゅーすんの嫌?」 「くる、し」 「少しくらい息できない方が気持ちいいよ。さと、もっと上まで擦って。できる?」  息ができずに苦しいのか、生理的な涙を零している悟志はふるふると首を横に振った。体格差からキスをする時に猫背になっているのも理由のひとつだろう。  仕方ない。光は後頭部から手を離し、悟志の両手を支えると、ゆっくりと上下に動かしていく。それだけで余裕がなくなっているのが本当に可愛い。父親に抱かれているとは思えないほど無垢なそれに、光はゆっくりと押し倒しながら鎖骨に噛みついた。 「さと、もういいよ。ごめんね、いっぱいいっぱいだよね」  手を離させ、中途半端に開いていた足から下着を取り去るとそのまま膝を掴み、きゅうと自分の欲望を挟み込ませた。折り曲げた足を固定するように大腿を両足で挟み込み、ゆったりと腰を揺らす。疑似的なセックスに似た行為に、悟志は混乱しているようだ。  たぱんたぱんと皮膚がぶつかる音が響く。光は何をされているのか理解しきれていないそれを見下ろし、舌なめずりをしながら親指を悟志の口に差し込んだ。 「さと、可愛い。可愛いね、さと可愛い」 「う、ぅ?」 「はー、ほんと可愛い……。ね、擦り合いっこ気持ちいい?」  これが擦り合いではないことに気付かないまま悟志は与えられる快感に酔い頷く。無知な子供のように揺さぶられながらも頷いているそれに、光は堪らなく興奮した。

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