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第19話 -11
服も買い、テレビやドライヤーなど今まで置いていなかった家電も買い、その他日用品も揃える。
昼には買い物に出ていたのがすっかり日も暮れた。夕飯は決まっていないが出前をとることにして帰路につく。
大体が組み立て式の家具を買ったのだが運ぶのは市倉と澤谷2人だけ。悟志のことは先に部屋に運び、男2人で何度も往復をして運び込んだ。
業者に頼めば楽だったのだが、その業者も信用できるとは言えない。だから仕方ない。
運び込み組み立てる間、悟志はキッチンにいろとバースツールに座らされていた。これは元からあったものなのだろうかと考えつつ、やることもないため爪先だけはつくそれからゆっくりと降りる。
市倉に教えてもらったから、少しは歩けるようになった。カウンターに手をつきながらゆっくりと進み、市倉達が戻ってくるのを迎えようと廊下に向かう。
ガチャリと扉が開き、2人がソファを運び入れてきた。悟志は頭だけを出し、市倉に声をかける。
「暇だ、構え」
「今は駄目です」
「悟志さんお願いだからマジで可愛いことしないで」
「?」
恋は盲目というやつだ。好きな相手なら何でも可愛く見えるというもの。昔読んだ本に書いてあった。
今は駄目と拒否した市倉は崩れ落ちてしまいそうな澤谷を一喝し、リビングへとソファを運び込む。位置を調整することもなく、あまり動けない悟志を抱き上げそのソファの上に座らせた。
「座って待っててください。勉強でもして待ってますか?」
「……嫌だ」
「じゃあ寝てていいから。頼むから今は大人しくしててくださいね」
「わかった」
自分の一挙手一投足で澤谷が反応してしまい邪魔になる。市倉にだけは怒られたくない、悟志は大人しく頷いた。
とはいえ、だ。本当に何もすることがない。寝ていろとは言われたものの、妙に落ち着かない。地下まで向かい、荷物を持って上がってくるまでは結構な時間がかかる。市倉が帰ってくる前にと、入らせてくれなかった彼等の部屋に向かうことにした。
足に力を入れ立ち上がり、近くに壁はないからと支えもなしに歩く。
ちゃんと歩けなければ、光や時雨に心配をかけてしまう。特に時雨だ、これさえも自分のせいだと落ち込むに決まってる。だから、ちゃんと歩けるようにはなっていたい。
普通ならば10秒もかからず進める距離を、2分かけて歩き疲れてしまった。悟志は扉を開けると見慣れたベッドを発見し、これ以上は歩きたくないと腰を下ろし四つん這いで近付き潜り込む。
広い部屋だ。実家にいた頃の自分の部屋よりも。大きい窓はきっと下を覗き込めば足が竦むほどの高さなのだろう。成人男性2人が住むには十分。それどころか、自分も此処で寝泊りしても問題ないように思えた。
ただ、それは市倉が絶対に嫌がる。
市倉には抱かれても、あの犬は自分とはまだどうともならないのに。何故そこまで過敏に反応するのかわからない。
18歳まであと1年と4ヶ月。その間に澤谷だって他の抱かせてくれる相手に靡くに決まってる。
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