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第20話 -2
今日は木曜日。学校に来るのは月曜から。あと3日我慢すれば悟志にまた会える。
けれど、会ってもちゃんと話をしてくれるだろうか。電話ではああ言ってくれたけれど、あれは宵がいたからで本当は心の底から嫌っているなんてことも有り得るのに。
それでもやっぱり、会いたい。
躁鬱のように考えがくるくると回る。これまでの彼女には一切抱いたことのない焦燥を覚えることに自分ながら疑問も覚える。
彼女達と悟志で、何故ここまで入れ込み方が違うのかがわからない。過去付き合ってきた相手にも確かに惚れていた。それなのに、こんなにも心を揺さぶられるのは悟志だけ。
自分だけでなく、光も、市倉も、そして悟志の父親も彼に対して尋常ではない想いを抱いている。それだって少し異質だろう。
ちゃんと話すようになってからまだ数ヶ月も経っていない自分でもこうなのだから、長い間共にいる彼等がどっぷりと嵌まり込むのもわからなくはないのだが。
課題を終わらせ、書類は母に一応見てもらおうとダイニングテーブルに置いてきた。部屋に戻り、誰も帰ってこないとわかっているからベッドに座りボックスティッシュに手を伸ばす。
下衣のフロントを寛げ、スマートフォンを操作して先程のメッセージをまた開く。
楽しみ、と送ったそれには返信がないが既読通知は届いている。続けるように文字を打ち、送った後は返事を待たずに写真と動画で手慰みを始めた。
また会えるようになっても、暫くは触れられないかもしれない。自分も触れるつもりはない。
詳しくは知らないが、あんなボロボロになるまで手酷い抱かれ方をされた相手に対して欲情なんてできない。
機械的な作業はすぐに終わった。悟志をネタにするといつも早く果ててしまう。これもまた、あれに惚れてしまっているからかもしれない。
暫くはこのままでもいいかと手も汚れたままベッドで横になっていると、ピコンとメッセージが届いた音がした。それに視線を投げ、ふっと笑みが溢れる。
『夢でもいいから誰よりも先に会いに来てよ』
『お前が来たら考える』
こんなに好きにさせておいて、この言葉への返信だってどうせ深くは考えていないのだろう。無自覚だから厄介だ。
そう思いながら窓の外を眺めれば、1時間ほど前から降っていた雨が止んでいた。
初めて会った日は春先の雨の日。
もう、梅雨も明ける。
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