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第22話 -2

 背後から抱き締められて、耳元で囁かれる。  ぞわぞわと背筋が震え、それだけで肌が粟立った。  最近はゆっくりとなら歩けるようにもなってきた。だから多少は足も動かすことができる。悟志は逃げようと膝を立てるが、時雨に膝裏を掴まれ大きく広げられてしまった。 「さと、好きだよ」 「悟志」  2人の指が肌をなぞる。クーラーもついておらず暑さで汗ばんできたのに、構わずに密着され続けた。  夏だから暑いのか、2人に触れられて羞恥で身体が熱くなっているのかがわからない。シャツの下を貼っていた光の指が胸の尖りに触れ、摘み、捏ねられる。吐息が漏れていた唇を食まれ意識が持っていかれている間に時雨の手が下衣のフロントを寛がせてきた。  雰囲気だけでも興奮し、昂りは既に芯を持ち始めていた。少しだけ下着をずり下ろされ何の躊躇いもなく口で咥えられてしまい思わず喉の奥から声が漏れた。 「ぅ、ぁ」 「市倉さんにはフェラしてもらう?」 「し、ない、しない、やだ、やだやだ、伊野波……っ…」 「名前で呼べってば。何で嫌だ?」 「ぞわぞわして、へんな声出る……」 「気持ちいいってことだよ。ほら、ガン勃ちじゃん」  舌で舐め上げられ、完全に勃ち上がったそれを指で撫でられまた嬌声が出てしまう。それを塞ぐためにまた光とキスをする繰り返しに、悟志の理性はあっという間に蕩け始めてしまった。 「ちょっと、ゴムとローション出すから待ってな」 「あ、俺ないんだけど」 「じゃあお前はお預けってことで。あんまり汚したら市倉さんにバレちゃうし」  避妊具と潤滑剤をロッカーの奥底から出してきた時雨に、光はあからさまに表情を歪めていた。そうだ、と時雨はたった今思い出したかのように悟志に声をかける。 「悟志のこと抱いた時からもう他の誰のことも抱いてないよ。これ置きっぱなのは此処でまた抱けるかなって思っただけだから」 「……なん、で」 「んー? 俺はもうお前以外としたくないってだけ」 「……お、れは」 「別に他としても構わないよ。別に俺と付き合ってるわけじゃないし、俺はただ、他とする分お前とする時間とか減るのが嫌なだけ」 「さと、俺ももうずーっとさと以外の人とはしてないよ。さととしかしたくない。さとだけ抱きたい」  自分を認めてくれるなら誰が相手でもしているような自分とは、大違い。  やっぱりそんな時雨や光が自分なんかとするなんて、そんなことあってはならないんじゃないか。  自分以外の、誠実に向き合える他の誰かと。 「光、脱がせるからちょっとこっち預けさせて」 「マジでずるいんだけど」 「いやー、持ち帰ってなくてマジでよかった。……悟志、何で落ち込んでんの」 「……俺は、想われるほどいい奴じゃない」 「俺らもお前が考えてるほど誠実でも何でもないよ。いいじゃん、皆悪い子だよ。俺も光もお前も同罪ってことで」 「まあ少なくとも、昼休み中に部室でセックスなんていい子じゃないよねぇ」 「悟志は、俺らに気持ち良くされるのは嫌?」 「……や、じゃない」 「じゃあいいじゃん。いっぱい気持ち良くなって、トラウマなんて忘れてさ。……もし歩けなくても、俺が一緒にいるから。ずっと一緒に歩きたいな」 「抜け駆けとかさせないから。ね、さと。今日生でしていい? さとの中にいっぱい出して、さとの身体が俺のDNA覚えちゃうくらい奥まで俺のこと教え込みたいんだけど」  下腹部を指で撫でられ、つうと指先が欲望を刺激する。  いっぱい気持ち良くなりたい。父にされたことを全部、全部忘れたい。  自分を愛してくれる人達が望むのならば、その皆に抱かれたい。もっと愛して、俺を『九条悟志』だと認めて。  悟志は、2人の言葉だけでも理性を全て蕩けさせた。

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