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潜入捜査
完璧な変装が施され、xxxの拠点隣のビルの屋上に集まったのは今回の討伐作戦で潜入捜査班となったメンバー。
「………至って普通の建物のようですね、」
「そうですね…」
「シキ、本当に僕でいいの?」
「それは大丈夫。エルは潜入捜査向いてると思うよ」
第三師団からはアンさん、第七師団からは俺とエル。この三人である。
三人ともラフな格好には変わらないが、普段と違う格好にお互いなんとなく恥ずかしい。
隠密として行動するのは、第三師団からは女の子、ジルベールと目つきが悪いユーガという人。第七からはアオとレイス。この二人、不安だ…。
『総員配置に着いたか』
カフスに模した発信機内蔵の通信機に連絡が入る。
セツカが今回の指揮官である。
作戦としては、俺達潜入班と隠密班で協力し、次に被害に遭う場所の特定・主犯格の確保を目的とする。
潜入班が中の連中の意識を逸らし隠密班が情報を得、俺が合図をしたら一斉に突入だ。きっと、レイスは今頃ウズウズしているのだろう。
ただ、厄介なのは宗教とは信者の信仰心をポッキリと折らなくてはならない。
……………あまり、言いたくはないがお前達は間違っているのだ、と言わなくてはならないのだ。例えその人達の心を壊そうとも。
それには、この集団の教祖を信者の目の前で捕まえる。証拠と共に。折るなら徹底的にやらなければならない。
「こちら、潜入班。大丈夫です。」
『隠密班。問題ない。』
『こちら待機班、大丈夫だ。』
『お前達、やるぞ』
***
「貴方は救いが欲しいとは思いませんか?この世界の神は創造するのみ。ですが、私達の主は救世主であるのです。」
このxxxが宗教勧誘をするという場所にて、わざと信じ込んだふりをして勧誘者に着いて行く。
「ここが、貴方達が祈りを捧げる部屋となります。ご案内しましょう。」
皆、真剣にお祈りとやらを捧げる中を突っ切って行く。これは…最近入った人達だろうか。それにしても人が多い。
その祈りの矛先が向かうのは、飾られた写真のような物。
…………写真?
写真をよく見てみると、やせ細った少年だった。
……………………アオ……?
そんな、まさかな。
「貴方のお悩みはなにかしら?」
そう問われ、自分の思考から抜け出した。
「悩み……ですか?」
「もしかして、恋のお悩み?」
…………ハイィ?いや、ここは話を合わせておくか。
「………まあ、そんなところですけど、」
「そうよねぇそうよねぇ、そんな気がしていたわ!」
「………はあ…」
「だって冴えない男の子のようだし、お年頃だものね!」
……………コイツ失礼だな、誰が冴えない男の子だっつうの!!!お年頃とかやめろ!!
いやいや、落ち着け。連れてこられたばかりなのであろう連中の中には、アンさんとエルを見つけて互いに目配せをする。
「………すみません、お手洗いをお借りしても?」
「わかりました。では、ご案内致します。」
そして、アンさんもエルもこの歪な空間から出て行くのが見える。さあ、始まりだ。
***
トイレにて、案内人に気絶してもらい縛って隠した(ごめんなさい)。というか、男子トイレまで着いてきたこのオバサン、普通にやばいだろ。建造物侵入罪でしょっぴくぞ。
「隠密班に通達。準備しておけ。」
『了解』
祈りの部屋には、窓など一切なくまっっしろな壁のみ。出入りできるのは俺達が入ってきた扉だけ。
この祈りの部屋の奥に見える扉、きっとこの奥に何かあるのだ。俺の勘は良く当たる。
中に入るとそこは迷路のように沢山の扉。
「ニイロさん、監視カメラの映像よろしく」
ニイロさんには監視カメラを遠隔操作をしてもらい、監視カメラ映像をすり替えてもらう。
『任せて』
そして、エルには隠密班が入る為の入り口の確保。俺達は解る範囲までこのビルの内装は理解している。
「エル、裏口開けてきて」
『了解』
これで隠密班が入ってくる。ここからが問題だ。
時間との戦いである。早く、早く証拠を見つけなければならない。
ただ、このビルおかしいのが、外の見かけよりも広い。というか空間が歪んでいる。そんなことあるのか?
今のところ『事故』とされるもの、これは必ず裏があるはずなんだ。証拠がここには、ある。
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