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ヘルプサイン
…………やめてよ、やめて。お願いだから。
だして、ここからだして。お願い。
パパ、ママ。どうして、ぼくは生まれてきちゃだめだった?
僕は何者なの?キュウセイシュなんかじゃない。
ぼくはただの人間だよ。そうでしょう?
あれ、死んじゃった。おじちゃん?おばちゃん?
カンタンなんだね。
いいこと?すくわれる?よく、わかんない。
おかしいな、おかしいな、
ぼくの親友。
お願い、置いてかないで ーー
***
声がした、
暗い廊下を歩いていると、ふと声が聞こえた気がした。だが、周りは人の気配なんて無い。
とりあえず、声がした方へ向かうとそこは扉も何もない、壁。そこの壁になんとなしに触れてみる。
すると簡単に壁が退き、道ができる。
「………嘘だろ、」
…………こんな簡単に扉が見つかっていいものか。
嫌な予感しかしないけど。
『シキ!武器庫を見つけたよ!』
エルが無線で嬉々として言う。でかした。
「わかった。エル、お前はその武器庫を破壊して来い。隠し通路を見つけた。俺はそこに行く。」
『了解』
しばらくすると、遠くの方で大きな爆発音がする。これでしばらく敵の意識は彼方に行く。エル、耐えろよ。
『こちらも、証拠を発見した。』
アンさんだ。
『………頭蓋骨とともにその方と思われる写真が展示されている部屋を発見。敵は愉快犯か何かか?』
「数は」
『……これは、数百単位だ。中には有名な商人や貴族の写真とその頭蓋骨と思われるもの。』
「わかりました。では、アンさんはエルの援護をお願いします。」
『了解した』
「アオ、レイス。お前ら俺の場所わかるな?」
『わかる』
「追ってきてくれ」
『了解』
***
もう、殺したくないんだ。
これは、イイコト?
僕は普通の人間なのに。
キュウセイシュ?僕が?
そんなことない。
だって、お兄ちゃん達は、
……死んじゃったよ?
***
冷たく暗い階段を降りていると、また声が聞こえた気がする。とにかく、とにかくそこに行かなくてはならない気がした。急いで階段を降りて行く。階段を降り切ると、そこは牢のようだ。
「………ここは、」
吐き出す息が白い。
「……………お兄ちゃん、ここになにをしにきたの?」
幼い声に驚き、声がした方を向くと
「ア、アオ?」
アオに非常に良く似た少年が牢の中にいる。
いや、アオより色が白く髪も白い。
「アオ?じゃないよ。」
彼が囚われる牢に近づいて彼と目線を合わせるためにしゃがんだ。
「君は…どうして、ここにいるの?」
「わかんないけど、ここのひとたちはぼくが大切だから。」
この扱いが、大切………?
「……、君はどれくらいここに?」
「わかんないけど、いっぱい。」
「そっか、………」
彼の痛々しい姿になかなか言葉が出てこない。
「ねえお兄ちゃん、」
「……ん?」
「お兄ちゃんは、ここでお仕事する人?」
「……………俺は、君を助けにきた。」
すると彼は少し悩み、意を決したかのように顔をあげる。
「じゃあ、おねがいしてもいい?」
「………俺にできることなら、」
「ぼくね、もうおじちゃんおばちゃんをころしたくないの。みんなぼくがキュウセイシュって呼ぶのもイヤなの。ここから、」
たすけてーーー
そう言われた瞬間に、俺は考えるよりも先に身体が動いていた。
***
このお兄ちゃんは僕をここから連れだしてくれる。
もう大丈夫だよ。
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