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俺は君に何ができるのか

小さめの窓から入り込む陽の光が俺の目元を照らし出す。俺が顔を顰めて場所を移動すると、ノアと少し距離が近くなる。近づくとノアが少し不機嫌そうによくわかる。 「なんで、そんなに機嫌悪そうなの」 シノとクロエは二人で仲良く買い物中である。別荘とはいえ、シノが人払いをしていた為に、家事炊事は自分でしなくてはならない。それはいつもの寮生活と変わらないのだが、食材が無い事に気付き、二人は少し歩いたところにある街まで調達しに行ったのだ。 俺がノアに何故そんなにもお前は怒っているのか、と尋ねると更にノアはぶすくれる。 「別に、なんでもいいだろ」 とっくに、素に戻ったノアはツンツンの二倍増しキャンペーン中である、超ツンツンしている。俺は、すぐ近くにある柔らかそうな頬を思い切りつまんでやる。 「なにふんだよ、」 「なーんで、怒ってんの?」 俺はソファから立ち上がってノアの真正面に行き、ついでに両方の頬もつまんでやる。 ノアの顔を伺うように覗き込んでやれば、長いまつげに親でも目が行く。 「…はなへ、」 そろそろいい加減にしないとぶちぎれそうなので、頬から手を放し、ノアの様子を伺う。 まだ唇がとんがって(いるように見える)彼は、すこし俯きがちに口を開いた。 「別に、言わなくてもよかったんじゃねえの、」 「…へ?」 「……あの人に、お前がダガーだって」 言わなくても良かったんじゃないか、

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