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第7話

「オレは誰とも番うつもりは無いんです」 「……運命、でも?」 「運命だったら尚更、番うつもりは無いです」 ショックだった。 運命の番は相手が何であれ絶対に番うものだと思っていた。 ただの都市伝説だと思っていたけど、目の前に本当に現れたんだ。当然の様に番うものだと思い込んでいた。 「自分の意思とは関係なく振り回されるのはもう嫌なんです」 ソイツは散っていく花の様に笑った。 自分の産まれ持った性にこれまで散々振り回されてきたのは容易に想像出来た。 Ωというだけで差別や偏見に合う。 αとは全く逆の存在。今まで何の苦労もせずに暮らしてきたオレには理解出来るはずがなかった。 だから余計に悔しかった。 まだ名前すら名乗っていない。何処の誰だかも知らない。 全くのゼロからの出逢い、いや、マイナスからの出逢いなのにコイツはオレの事を何も知らずに忘れてほしいと言う。 「貴方は見た感じ、αの家系でしょ?」 「そう……だけど」 「だと思った。凄くプライドが高そうだ」 少しだけイラッとした。まだ何も知らないくせにαの家系というだけでプライドの高さまで計られて。 でもそうやってイラついたりするから、プライドが高いって言われるんだろう。 オレはとことんα性に浸って生きてきたんだと痛感させられる。

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