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第3話

何頭か派手に美しい衣に包まれた駱駝の軍団が砂漠の端にある神域とされる場所へと到着する。 石垣で囲ってあり、銀の扉がついていて見た目は植物園か何かのようだが、砂漠の中では異質に見える。 「王よ。こちらです」 案内人が恭しく扉を指差すと、王と呼ばれた青年はその扉に手を翳すとギイと音をたてて開いた。 扉の中には、砂漠の護り樹とされる黄金の覇王樹が神々しくそびえ、案内人はその前へと美しい銀の長い髪の青年をいざなう。 砂漠の民とは思えないくらいに白い肌と、蒼く光る銀の髪と体を飾る貴金属がジャラジャラと音を響かせ、彼が普通の民ではないことがすぐに分かる。 「これは、酷いな」 犬狼族の王族以外は開けることができない扉を、何者かが勝手に開いたことも大事だったが、その覇王樹の根元の枝が斬られていて、わずかだか腐り始めて枯れかけているのは、大惨事である。 オアシスの一部で起きている干ばつはこれが原因だろう。幸い犬狼族の住む地域の干ばつは少ないが、作物に影響が出ていて、わずかだが飢餓で犬狼族にも死者もでたと報告があった。 「……覇王樹荒らしの罪人はシナール王国の者で既に捕えられています」 「そうか。シナール王国には、その者の首を差し出せと通達しろ」 覇王樹の根元に彼が手を当てると、ふわっと銀の煌めきがまたたき、腐りかけていた切り口が塞がれていく。 「まあ、此度は間に合って良かったが、この神樹が倒れればオアシスの水はたちまち干からびてしまう。大陸を危機に陥れたのだ。その者首ひとつでは足りないが……」 「王よ。彼の者……王国からの報告で、神樹の棘に刺され供物となったとのこと。近く国へ献上すると……」 供物は神からの恵みである。 殺す訳にはいかない。 「供物……。それは、覇王樹の恵みか……むやみに処するわけにはいかぬな」 躊躇うように視線を揺るがすが、青い瞳に意志を称えて、黄金の覇王樹を見上げる。 死よりも辛い目に合わせて、罪を償わせるとするか。 「わかった。すぐにシナールへ使者を向かわせろ。即刻その者を我らの供物として召し上げる。失った民の分……十分に産み落としてもらおうではないか」 酷薄そうに笑うと、覇王樹に祈りを捧げてシャランと艶やかな金属の音をたて、ゆっくりと扉を出て神域をあとにした。

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