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第10話
サルバトーレの目の前の供物である青年は、雄を受け入れながらも痛みに声をあげたが逃げようとはしなかった。
きちんとした供物としての教育なども受けていないのだから、この状況を幸せだと口にするのは本心だろう。
暖かく包み込むような、ぬるま湯のようで溺れそうになる感覚に、王は奥歯を噛み締める。
気を抜けば湧き上がる激情に流されてしまいそうな恐怖がある。
今まで抱いてきた供物にこんな感情を覚えたことはなかった。
カムルの呼吸が落ち着くのを待ってから、ゆっくりと腰を入れてまだ堅い内部を捏ね回すように揺さぶる。
「ッーーふ……あ、あ……ッく……か、からだ、が……あつい……ッああ」
火照りを伝える肌の内部で、血が煮えるほどの熱におかされているのか、カムルは必死で背中に回した指先をサルバトーレにたてる。
「貴様の身体も悦び始めた証拠だ。これから貴様の生業は、こうやって我らが種族を悦ばせることなのだから、ちゃんと覚えろ」
ぐちぐちと鈎のある肉竿で内部をいたぶると、必死に身をよじり、ふわりと柔らかい甘ったるい香りを撒き散らす。
これだけ熟れた香りが漂うのだ、しっかり子宮も出来ているはずだと、腰を抱えて奥まった肉襞をぬくぬくと潜り込ませて奥をコツコツと叩くと、カムルは目を見開き首を何度も横に振る。
「ッーーーーッい、い、アッひ、そ、そ、やぶれ、っひゃう……ああ、からだが…………やぶれ……ッひゃう……こ、こわひ……ッ」
だらだらと切れ長の眼から溢れる涙には、流す本人も驚いているようで、微かに震える唇に何故か愛しさを覚えて、サルバトーレは唇を柔らかく吸いあげる。
「此処で我らが子を孕むのだ。怖くはない……貴様が飢えをもたらし奪った同胞の命は此処で育め。それが償いだ」
「ーーッく……ああ……ッく……」
「貴様の今後の一生は……我らが種を胎で育てる道具なのだ」
サルバトーレはカムルの耳元に囁きかけて、ずんずんと中を突き上げて、これは覇王樹を汚した贖いなのだと繰り返す。
この行為は漂う香りのように甘ったるいものでは無いのだと、サルバトーレは彼自身にもまるで刷り込むかのように、突き上げる度に何度も繰り返した。
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