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第15話
大狼の特性なのか、サルバトーレは匂いに敏感なのかと思っていたが、カムル自身も彼の匂いに抵抗できず、身体中の力がぐったりと抜けてしまっている。
「覇王樹が、我に遣わした供物なれば当たり前なのかもしれぬが、一族に伝承されるはなしのひとつに、芳しき番と呼ばれる者があったと聞く」
唇の甘い果実のような匂いと共に、囁かれる言葉はカムルの頭の中には入ってはこなかった。
与えられる刺激がすべて下半身を痺れさせていき、意識すべてがそちらへの思考にもっていかれてしまうかのようだった。
「……ッふ……うッ……王よ……わたしは……わたしは……」
何とか言葉を口にしていないと、根こそぎ溺れてしまいそうな感覚に怯えたように、カムルはサルバトーレの背中へと腕を伸ばす。
「可愛がってやろうと言うのだ。素直に身を任せて力を抜け」
ガチガチの身体をいなすように、サルバトーレは耳元に唇を寄せて唾液を流し込む。
染み入るように与えられる体液に身体が熱くなり、蕩けてしまいそうになりカムルは身体をよじった。
あの日のことは記憶が曖昧だったが、同様に攫われてしまいそうな熱で、思考も記憶も脳の中のすべてが焼ききれてしまうのではないかという気がしていた。
「カムル……脚を横に開いて抱え込め。そうすれば楽に呑み込める」
指図に従い身体を開くと、ぐいと押し付けられた硬い肉がズクズクと内側へとはいりこんでくる。初めのような痛みはなく、熱だけが放出出来ずに溜まっていく。
「……く、ッうううっ、ーーッくう……ッ」
狭い内部を圧迫する感覚に身体を捩るが、熱量はそれを上回り、中へ取り込もうとじくじくとしたは疼きをカムルに伝える。
もっと、あの時のように中に来て欲しいと深層心理から訴えかけている。
「ほら、覚えているだろう。あの日、貴様のここから先の子宮を可愛がったことを」
サルバトーレの囁きに、カムルは何度も頷いた。奥にある壁を突き破ってほしいと、必死で身体を押し付ける。
こんなのは、自分じゃないと心は否定しているのに、さらばこそ……それが幸福で多幸に満ちていている物だと感じていた。
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