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第17話

カムルが漸く身体を解放されたのは明け方になってからだった。 下腹部はぽっこりと膨らみ脚は閉じることが出来ず、カムルは意識は辛うじて保てていたが、官能の波は収まらないのか、だらしなく蕩けきった表情を浮かべている。 「やはり強い身体だ。いままでの供物であれば、一度で参ってしまうのに五度までも耐えることが出来るとは」 カムルの割れた腹部より下の辺りを撫でつつ、サルバトーレは笑みを深めた。 何年も身体を交わした者の誰一人身篭ることがなかったので、家臣の間でも不能ではないかと囁かれている。 しかし線の細い供物に己の本能のままに無体を強いることは、サルバトーレの性格上なかなかできない。 自分より体格の大きなカムルであれば、手加減抜きで蹂躙することができた。 「……大丈夫か。ここまですれば、貴様のその腹に我が子供が宿るだろう」 身体の奥にまだ熱が燻っているようで、カムルはサルバトーレを熱っぽく見上げる。 「こども……ここに……」 カムルは朦朧としたまま、サルバトーレの手のひらが撫でる心地よさに表情は緩みきってしまっている。 「お前は故郷で何をしていた。覇王樹を無闇に切るような狼藉者には思えぬ」 「……越境騎士団……で、団長をしておりました……賊を追って砂漠に迷い込み……部下と共に渇きに……死ぬところを覇王樹の庭にたどりつきました……そしてその茎をもいだのです」 掠れた声で、漸く罪のあらましを語ることが出来て、カムルはほっと息をつく。 この青年に理由もなく大切な覇王樹を傷つけた輩だと思われ続けるのは嫌だと思っていた。 サルバトーレは真剣な眼差しを向けて、カムルの話を信じたのか何度も頷く。 「渇きに……。覇王樹の庭は我が力でしか封印が解けぬはず……それが不思議だったのだ……。今度、そこへお前を連れていこう……真実を確認したいのだ」 もし覇王樹が彼を導いて助けを施したことが証明できれば、罪人扱いをしなくて済むからと、サルバトーレはカムルの腕を握った。 「罪を許されたいとは思えないのです……覇王樹を傷つけたことを……わたしは後悔をしていないので……」 真っ直ぐな目で告げるカムルに、サルバトーレは少し不満そうな表情を浮かべて、その首筋に舌先を這わせる。 「我はお前を欲しいと思っている……。お前からは、耐えきれないほどの香りが漂って、欲しくて仕方がなくなるのだ。手元に置かなくてはならないと、我の全身が叫んでいる」 「手折った覇王樹の呪いでしょう。……それ以外に貴方の興味をそそるようなものは、私にはありません」 「だが罪人を娶るわけにはいかぬ。だが、我はお前を我だけのものにしたいのだ」 それには証が必要なのだとサルバトーレは告げて、頼むとカムルに頭を下げた。

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