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第22話

サルバトーレには強がった言葉を伝えたが、熱射病になりそうに照りつける砂漠を戻るのは、流石にカムルの心も折れてしまいそうだった。 「随分とお疲れのようですね」 声をかけてくれるのは、護衛につけてくれた近衛大将のユピテルである。 「ああ、申し訳ない。貴方も参詣の儀式に加わりたかったでしょうに」 覇王樹の儀式に参加することは、それだけで覇王樹の恩恵に預かれると言われている。 「将来の世継ぎの君を護る名誉に預かれて、私は果報者でございます」 臣下の鑑ともいえるようなユピテルの返答に、カムルは胸をなで下ろす。 自分一人の体ではないということが、実感はわかないがユピテルの言葉からひしひしと感じ取れてくる。 「王は、貴方の罪を祓うことを願っていましたので残念そうでしたが、もう一つのお喜びの方が大きかったのでしょうね。あの方は、昔からそういう子供っぽいところがおありになる」 ユピテルは駱駝を駆りながら、幼い頃のサルバトーレの武勇伝やエピソードを語り続けていた。 「そろそろお休みになられた方がいいです。砂漠の夜は冷えますので、夜駆けは身体の毒です。ゆっくりと戻りましょう」 ユピテルはテントを張ると、火をおこしてカムルをテントの中へと誘う。 「エディンは獣の国と聞いてきた。サルバトーレ以外で獣の姿を見たことがない……何故だろうか」 「神の力も次第に薄れてしまってましてね。獣化できる王族は少ないのです。臣下にいたっては、殆ど獣化はできません。名残に、尻に尻尾があったりしますがね」 ユピテルはカムルの問いかけに答えると、 「人間の女性の血は強いので、獣化できる子を産めるのは、オメガだけなんですよ。そして、我らの種族同士では、獣化できる子を残せない」 「聞いていた話と違うな」 エディンの獣は人間になれる力を持つのが、オメガとの子供だけど聞いていた。 「人間が供物を我らに与えなければ、我らは弱体化してしまう。そんなこと、人間には伝えられませんよ」 ユピテルが何故本当のことを話してくれたのか、カムルには分からなかったが、新しい世継ぎを宿したことで、仲間だと認めてくれたような気がした。 「……カムル様!!気をつけて、何かが来ます!!」 突然立ちあがったユピテルに、カムルは脇に置いていたレイピアを手にした。 「賊か!?」 テントからカムルが飛び出すと、十名程度の近衛隊の隊衣を身につけた兵士たちが取り囲んでいた。

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