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第21話
「航、航……っ、わたる」
気持ちの赴くままに穂高は航のモノを愛でる。何度も何度も呼ばれる名前は狂気でしかないけれど、今の航に正常な判断はできなかった。
初めて知った自分以外の温もり。自身で慰める時とは全く違う、穂高の指。航に合わせるのではなく、穂高のしたいように施される愛撫に航は頭を蕩けさせる。
「ほだか、穂高ぁ……ああっ、ア、ん……はぁ」
航を縫いつける為だった穂高の手は、今や航を支える為にある。離してしまえば崩れ落ちる航の身体を、穂高は腕一本で支えていた。
「う、アッ、そこ。そこもっと、ぐりっておねがっ……お願い、穂高」
「はぁ……なんで。なんで航こんなにエロいんだよ……想像してたのより、全然クるんだけど」
ぐずぐずと鳴る航の下肢を弄りながら、穂高はその痴態を堪能する。
赤く染まる頬も半開きの唇も、それが濡れている理由も。今まで散々と妄想で犯してきたのに、そのどれよりも実物は官能的だ。
「ずるい。航は俺をどれほど夢中にすれば気が済むの」
舌をうった穂高が航の鎖骨に歯を立てた。
「ひっ、いやだ穂高。噛まれるの、やぁ……っ」
「そうやって嫌だ嫌だって言ったって、航のここは全然萎えないし」
「んぁっ、爪立てちゃだめ。穂高、だめ」
先端の割れ目に穂高の爪が食い込む。大きく膨らんだ航のモノは、痛みに喜び震えた。より多くの先走りを垂らし、それは地面へと糸を引いて落ちる。
そのごく少量の雫でさえ惜しい。航を捉えていた手を放した穂高は跪き、躊躇することなく航の下肢に顔を埋めた。
たかが土ごときが、航の蜜を浴びようなんておこがましい。
「ほだっ……そんなの──んんっ……い、ああっ、アッ、や」
穂高の口内はとても柔らかい。そこに包み込まれた航は、目に入る光景に眩暈を覚える。
いつも優しく微笑んでいる穂高の唇が、自分の欲望を咥えている。口での愛撫は知識としてはあったけれど、それを自分が経験するとは思わなかった。そして、その相手が穂高だなんて考えもしなかった。
あり得ないことだと、今でも思っている。
けれど現実は変わらない。どれだけ想像と違っても、航が穂高の口淫を受けていることに変わりはない。
「ほだかぁ……あっ、あ、気持ちいい……穂高の口の中、熱くて……気持ちいい」
宙を見上げ舌を突き出し。気持ちいい、気持ちいいと航は熱に浮かされる。穂高を汚す罪悪感を捨て、自分の欲を吐き出すことしか考えられなくなる。
「はっ、はっ……ああ、ああぁっ……ふ、んぅ」
航の内腿に力が入る。穂高は航の限界が近づいてきていることを察し、より喉深くまで咥えこんだ。航の切っ先が粘膜に当たり苦しい。けれど、これは穂高が求めていた苦しさだった。
自分が航を犯すよう、航にも自分を犯してほしい。二人で汚し合って、二人で落ちるところまで堕ちる。その願いを叶える為に、穂高は航を見つめる。そして視線で「このまま出せ」と告げた。
「穂高、ほだかぁ……あっ、あっ…………ああ、出るっ、イク……も、イクッ」
逃げようとする航の腰を引き、唇で根元を捉える。限界まで伸ばした舌で裏筋をたどると、口の中で航のモノが大きく跳ねた。その瞬間、穂高の喉の奥で航が弾ける。
注がれたものを全て飲み下し、残滓まで吸い取った穂高が航の下肢から顔を上げた。艶々と濡れた唇を指で拭うと、それすら舐めてしまう。
「航」
「穂高」
どちらともなく名前を呼び合った二人は、言葉もなく唇を重ねた。航は前屈みに、穂高は背を伸ばして。しっとりと合わさった唇が離れた後は、またどちらともなく囁いた。
「もっと欲しい」
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