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第23話
「アッ……や、んっ……んッ」
「なぁ、航のここ柔らかすぎない?これって発情してるから?それとも普段からこう?」
「しっ、知らない……は、ン、やぁっ」
航の中に差し入れた指を穂高はぐるりと回した。熱い壁に触れる指先が溶けてしまいそうで、穂高は目を眇める。
本当は今すぐにでも中を貫きたい。航の中は発情期特有の蜜に濡れ、ここに突き入れて揺さぶれば、恐ろしほどの快感を得られるだろう。
けれど穂高はなけなしの理性を総動員させ、激情に耐える。奥歯を噛み締めた切迫した表情で、航への愛撫を続ける。
「穂高。ほだ……ッん、かぁ……い、あっ、あっ」
自然と揺れる腰。壁に添えた航の頬に、垂れた涎が伝う。もう閉ざすことのできない口からは、穂高の名前と甘い啼き声が止まらない。
「や、んんッ……穂高、もう、ほ……うっぁ」
「はっ……はぁ…………航。航」
施している側の穂高の息も荒くなり、これではもうどちらが発情しているのか分からない。航の熱に中てられた穂高は、やはりギリッと奥歯を鳴らした。
もう、その痛みすらも感じないけれど。
「航。こんなに熱くして……どうしてほしい?なぁ。航……っ、ここをこんなに濡らして、何を待ってるんだろうな?」
既に指は一本から二本へ増えていた。けれど航はそのことに気づく余裕などなくて、ただ後ろを締めつけて喜ぶ。
未知の感覚に恐怖なんてない。あるのは強い快感だけだ。
「穂高、そこっ……や、あアッ……ア、んんっ」
穂高の指が、中の膨らみに触れる。少し手前にある秘所。そこが航の弱いところ、前立腺だった。
「ほだかぁ……そこ、だめだっ……や、だめ、だめ」
「航のだめは、シテだもんな?」
「ちがっ、違う……ッ、ひ、いぁっ」
溢れた蜜が航の内ももを伝う。前からの先走りには白い濁りが混じり、後孔からのものと合わさって二人の足元に卑猥な模様ができた。
それをチラリと見た穂高は、ふっと口角を上げた。
「航。このまま指でイクのと、もっと気持ちイイのと。どっちがほしい?」
「も、っと……?もっと、気持ち……ン、良く、なれる……?」
「なれるよ。指じゃ届かない奥まで、たくさん突いてあげる。俺が航を、助けてあげる」
ぐに、ぐにと限界まで入れた指を穂高は動かす。それだけでも堪らなく気持ちいいのに、これ以上があると穂高は航に告げた。
航の喉がゴクリ、と鳴る。飲み込んだ唾液がやけに甘ったるくて、胸焼けを起こしそうだ。
──これよりもっと気持ちイイこと。今よりもっともっと、気持ちイイことをくれる。
穂高がそう言うのなら、きっと間違いない。
涙をいっぱいに溜め、背後に立つ穂高を振り返った航は頷いた。震える唇を微かに開けると、そこから赤い舌が覗く。
「穂高……シて。もっと気持ちイイこと、穂高が俺に……教えて」
甘えるように伸ばした航の舌に、穂高は自身のそれを乗せる。絡ませるのではなく、舌先で撫でるように。
まるで、良い子だと褒めるかのように。
「航とセックスできるなんて、もう俺……死んじゃいそう」
穂高が漂わせる雄の匂いに、それはこっちのセリフだと航は思った。
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